泌尿器科コラム
石川病院 泌尿器科コラム 第3回

おしっこが出にくい・時間がかかる ~前立腺肥大症のサインかも~

前回は、男女共通の悩みである「頻尿」についてお話ししました。今回は、中高年の男性にとって避けては通れないテーマである「前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)」について詳しく解説します。

「若い頃に比べて、おしっこの勢いがなくなった」
「キレが悪くてスッキリしない」

そう感じていても、年齢のせいと、不便な生活に慣れて(あきらめて)しまってはいませんか? 泌尿器科に受診していただくことで、快適な毎日を取り戻すことができるかもしれません。

1. 前立腺肥大症とは? ~おしっこの通り道が狭くなる病気~

前立腺とは男性がもつ臓器で、膀胱のすぐ下で尿道を取り囲むように存在しています。この前立腺は、年齢を重ねるとともに徐々に大きくなる性質があります。

前立腺が肥大すると、その中心を通っている尿道がギュッと締め付けられます。締め付けによって道が狭くなるため、おしっこがスムーズに流れなくなり、結果として以下のような症状が出てきます。

  • おしっこの勢いが弱い、線が細い
  • 出始めるまでに時間がかかる、踏ん張らないと出ない
  • おしっこが途中で止まる、出し終わるまでに時間がかかる
  • 最後、ポタポタと垂れてキレが悪い
  • 出にくさだけではなくて頻尿、夜間頻尿が起きる

これらの症状は、数年かけて徐々に進行するため、本人は意外と「これが自分の普通だ」と思い込んでしまいがちです。

2. 「放置」が招く、本当は怖いリスク

「出にくいだけなら、時間をかければ済む話だ」と放置してしまう方もいらっしゃいますが、泌尿器科医としてはここが一番の心配どころです。出にくい状態を放置し続けると、身体にはさまざまな悪影響が及びます。

  • 尿閉(にょうへい)
    ある日突然、全くおしっこが出なくなってしまう状態です。激しい痛みと尿意を伴い、救急受診が必要になります。飲酒後や、風邪薬の服用が引き金になることもあります。
  • 膀胱へのダメージ
     尿道が狭くなると、おしっこを押し出すために、膀胱に必要以上に力が加わり、それが長期間続くと膀胱の壁が厚く硬くなってしまいます。例えるなら、本来は風船のように自由に伸び縮みできた膀胱が、古くなったゴムボールのように固まってしまうのです。一度こうなると、元々の原因である肥大症を治しても、膀胱の機能が十分に回復しないことが多いです。
  • 感染と結石
    膀胱に常におしっこが残る(残尿がある)ことで、細菌が繁殖して膀胱炎を起こしたり、おしっこの成分が結晶化して結石ができやすくなります。膀胱炎や膀胱結石は、痛みや出血(血尿)の原因になります。
  • 腎機能の低下
    膀胱へのダメージは、そこにつながる尿管・腎臓へも影響を及ぼします。腎臓の働きが低下し、最悪の場合、血液透析が必要になります。
3. 治療について

前立腺肥大症の治療方法は様々ありますが、患者さんの状態や希望に合わせて、段階的に治療を進めていきます。

  • まずは症状が軽い場合
    生活の工夫や経過観察します。自己判断せずにお気軽にご相談ください。
  • 次に「お薬」による治療
    多くの場合、内服薬からスタートします。狭くなった尿道を広げておしっこの通りを良くする薬や、前立腺の体積を小さくする薬があります。多くの方は、これらお薬の治療で、スムーズな排尿を取り戻すことができます。
  • より根本的な改善を目指す「手術」
    お薬を続けても残尿が多い場合や、尿閉を繰り返す場合、また「一生薬を飲み続けるよりも、根本から治してスッキリさせたい」という希望がある場合は、手術を提案します。 近年の手術(レーザー手術など)は、以前に比べて格段に身体への負担が少なく、入院期間も短くなっています。
4. 我慢を「当たり前」にしないために

「おしっこのために夜中に起きるのが嫌で、寝る前に水を飲まない」
「外出先でトイレが長くかかるのが恥ずかしくて、出かけるのが億劫になった」

もし、おしっこが原因で生活が制限されているとしたら、それは「仕方のない加齢現象」ではなく「治療が必要な状態」です。
今抱えているおしっこの悩みが、前立腺肥大症によるものであれば、治療を受けることで快適な毎日が戻ってくるかもしれません。
「自分のおしっこの悩みと似ている!」と思われた方は、お気軽にご相談ください。


次回予告
第4回は、引き続きのお話として、前立腺肥大症の根本的な改善を目指す「手術治療」について詳しくお伝えします。
手術は複数の選択肢がありますが、患者さんの状態に合わせて選択します。特に石川病院で行っているレーザーを用いた治療法「HoLEP(ホーレップ)ホルミニウムレーザー前立腺核出術」に注目。体への負担を抑えつつ、長年の悩みである「出にくさ」をスッキリと取り除く仕組みや、そのメリットについて分かりやすく解説します。「手術って実際どうなの?」という疑問を安心に変える内容ですので、ぜひご覧ください。

診察を希望される場合、初めての方でも予約不要、紹介状不要ですので、下記の診療日に気軽にお越しください。診療日の体制は変更になる場合があるので、気になる方はお電話でご確認よろしくお願いいたします。



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副院長・泌尿器科医師 石川 勉

福岡大学卒。岡山大学病院、岡山市民病院、津山中央病院等を経て石川病院に泌尿器科を開設。

日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
泌尿器ロボット支援手術プロクター認定(ロボット手術指導医)

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診察時間 午前9:00 ~ 12:30
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