Hydrocele
陰嚢水腫
痛みがないまま、陰嚢が少しずつ大きくなっていく。人に相談しにくく、そのままにされている方が多い病気です。命に関わるものではありませんが、自然に小さくなることはほとんどありません。まずは状態を確かめるところからご相談ください。
こんな症状はありませんか
痛みを伴わないことが多いため、気づいてもそのままにされがちです。
陰嚢水腫とは
精巣は、鞘膜(しょうまく)という薄い袋に包まれています。 この袋の内側では、精巣が滑らかに動けるようごくわずかな液体が作られ、 同時に吸収されることでバランスが保たれています。 このバランスが崩れて液体がたまり、陰嚢がふくらんでくる状態が陰嚢水腫です。
成人の陰嚢水腫は、はっきりした原因が見当たらないもの(特発性)が多くを占めます。 けがや炎症のあと、手術のあとに生じることもあります。 痛みを伴わないことが多く、数か月から数年かけてゆっくり大きくなっていきます。
似た症状を起こす病気
陰嚢が腫れる原因は陰嚢水腫だけではありません。検査で区別することが大切です。
精巣そのものにできる腫瘍です。痛みを伴わずに硬く腫れてくることがあり、外見だけでは陰嚢水腫と区別がつきません。超音波検査で確認できます。
腸などが鼠径部から陰嚢へ下りてくる状態です。立つと大きくなり、横になると小さくなる傾向があります。治療の方法が異なります。
細菌感染による炎症です。痛み・発熱・赤みを伴い、比較的急に症状が出ます。抗菌薬による治療が必要です。
陰嚢内の静脈が拡張した状態です。立ったときに膨らみを触れ、重い感じや鈍い痛みを伴うことがあります。
※ ここに挙げたものがすべてではありません。診断は診察と検査に基づいて行います。
診断のための検査
腫れの大きさ、硬さ、痛みの有無、精巣を触れるかどうかを確認します。
陰嚢水腫の診断で中心となる検査です。液体がたまっているのか、精巣そのものに異常があるのかを、その場で確認できます。放射線を使わず、痛みもありません。
精巣腫瘍が疑われる場合には、腫瘍マーカーを含めた血液検査を行うことがあります。
治療の選択肢
- 1経過観察
腫れが小さく、日常生活に支障がない場合は、そのまま様子をみるという選択があります。大きくなってきた場合や困りごとが出てきた場合に、あらためて治療を検討します。
- 2穿刺吸引(一時的な処置)
針を刺して液体を抜く処置です。その場で小さくなりますが、液体を作っている膜はそのまま残るため、多くの場合また同じようにたまってきます。手術がすぐには難しい方の一時的な対応として行うことがあります。
- 3陰嚢水腫根治術(手術)
液体がたまる膜そのものを処理する手術です。根本的な治療になります。腫れが大きい、繰り返しためている、生活に支障があるといった場合に検討します。
手術の実際
麻酔は腰椎麻酔(下半身の麻酔)で行います。意識はありますが、手術中の痛みは感じません。 陰嚢を小さく切開して中の液体を除去し、液体がたまる膜(鞘膜)を裏返して縫い留める、 あるいは切除することで、再び液体がたまらないようにします。
- 1手術前の準備
血液検査・心電図などで全身状態を確認します。血液をさらさらにする薬を服用中の方は、処方元の医師と調整のうえ対応を決めます。
- 2麻酔
背中から細い針で麻酔薬を注入し、下半身の感覚を一時的に遮断します。
- 3手術
陰嚢を切開して液体を除去し、鞘膜を翻転または切除します。出血を抑えたうえで縫合します。
- 4入院
手術後は入院していただき、出血や腫れの程度、痛みを確認します。入院期間はお身体の状態や経過により異なります。
- 5退院後の外来
創部の治り具合と腫れの引き方を確認します。しばらくは陰嚢を支える下着を着けていただくことがあります。
リスク・合併症
陰嚢は血管が豊富で、皮膚の下に血がたまることがあります。程度によっては追加の処置が必要になります。
手術直後はむくみのため一時的にかえって腫れて見えることがあります。落ち着くまでには時間がかかります。
創部に細菌感染が起こることがあります。抗菌薬で治療します。
まれに再び液体がたまることがあります。また、手術後に鈍い痛みや違和感が続く方がおられます。
費用について
陰嚢水腫の検査・手術は公的医療保険の適用となります。 窓口でお支払いいただく金額は、年齢や所得に応じた自己負担割合により異なります。 入院・手術で自己負担額が高額になる場合は、高額療養費制度の対象となります。
よくあるご質問
陰嚢水腫は自然に治りますか。
成人の陰嚢水腫が自然に消えることは、基本的にありません。むしろ時間をかけて少しずつ大きくなっていくことが多く、歩きにくい、下着や衣服が合わない、椅子に座りにくいといった支障につながります。なお、乳幼児にみられる交通性陰嚢水腫は自然に軽快することがあり、成人の場合とは考え方が異なります。
痛くないので、このままにしておいてもよいですか。
命に関わる病気ではありませんので、症状がなく困っていなければ、経過をみるという選択もあります。ただし一度は受診して超音波検査を受けていただくことをお勧めします。陰嚢が腫れる原因には精巣腫瘍など別の病気もあり、外から見ただけでは区別がつかないためです。検査は痛みを伴わず、その場で結果がわかります。
水を抜けば治りますか。
針で水を抜く処置(穿刺吸引)を行うと、その場では小さくなります。しかし水を作っている膜はそのまま残るため、多くの場合しばらくすると再びたまってきます。繰り返すうちに間隔が短くなることもあります。根本的に治すには、水がたまる膜そのものを処理する手術が必要です。
手術の麻酔はどうしますか。
腰椎麻酔(下半身の麻酔)で行います。意識はありますが、手術中の痛みは感じません。持病や内服中のお薬、背骨の状態により、麻酔の方法をあらためて検討することがあります。
手術のあと、すぐに腫れは引きますか。
手術直後は、むくみや内出血のために一時的にかえって腫れて見えることがあります。これは徐々に落ち着いていきますが、完全に落ち着くまでには時間がかかります。手術後はしばらく陰嚢を支える下着を着けていただくことがあります。
外来のご案内・お問い合わせ
泌尿器科の診療日・担当医は、外来担当医表をご確認ください。 初めて受診される方は、健康保険証(またはマイナ保険証)と、 服用中のお薬がわかるもの(お薬手帳)をお持ちください。紹介状は必須ではありません。
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