Urolithiasis
尿路結石
突然、背中や脇腹に激しい痛みが襲ってくる。尿に血が混じる。尿路結石は、痛みが一度おさまっても石が体内に残っていることがあります。当院では診断から内視鏡による治療、そして再発予防までを行っています。
こんな症状はありませんか
次のような症状は、尿路結石によるものかもしれません。
尿路結石とは
尿に溶けているカルシウム・シュウ酸・尿酸などの成分が濃くなりすぎると、結晶となって固まり、 やがて石になります。腎臓の中(腎盂・腎杯)にとどまっているうちは、ほとんど症状がありません。
ところが、この石が腎臓から尿管へ落ちると状況が変わります。 尿管は長さ25〜30cm、内径が数mmしかない細い管です。ここに石が詰まると尿の流れがせき止められ、 上流の腎臓や尿管に尿がたまって内側の圧力が急に高まります(水腎症)。 この急激な内圧の上昇が、あの激しい痛みの正体です。石が尿管の粘膜を傷つけると血尿が出ます。
尿路の構造と、結石が詰まりやすい場所
尿管には、もともと細くなっている場所が3か所あり、結石はここで停滞しやすくなります。
- 1腎盂尿管移行部 腎臓から尿管へ移り変わる出口
- 2総腸骨動脈との交差部 尿管が骨盤の大きな血管をまたぐところ
- 3尿管膀胱移行部 尿管が膀胱の壁を貫いて入る手前
※ 位置関係をわかりやすく示すための模式図であり、実際の形状・比率とは異なります。
診断のための検査
痛みの原因が結石かどうか、石がどこにいくつあるか、腎臓への影響が出ていないかを確認します。
尿に血液が混じっていないか、細菌感染を伴っていないかを調べます。結石の診療で最初に行う基本の検査です。
結石の位置・大きさ・数を正確に把握できます。造影剤を使わない単純CTで確認でき、超音波では見つけにくい尿管の石も描出できます。
腎臓が腫れていないか(水腎症)を、放射線を使わずに確認します。経過を繰り返し追うのに適しています。
腎機能や炎症の程度、尿酸値やカルシウム値などを確認し、結石の背景にある病気を調べます。
排出された石や手術で取り出した石の成分を調べます。シュウ酸カルシウム・尿酸など成分によって予防法が変わるため、再発予防の出発点になります。
レントゲンに写るタイプの結石であれば、位置の変化を簡便に追えます。経過観察に用います。
治療の選択肢
結石の大きさ・位置・硬さ、痛みの程度、感染や腎機能への影響を踏まえて方針を決めます。 すべての結石に手術が必要なわけではありません。
自然に出るのを待つ場合
一般に長径10mm未満、特に5mm以下の尿管結石は、自然に排出されることが期待できるとされています。 この場合は痛み止めや、尿管をゆるめて石を出やすくする薬を使いながら、水分を十分に摂っていただき、 画像検査で石の位置を定期的に確認します。出てきた石は、成分分析のためにお持ちください。
尿管ステント留置
石が尿の流れをふさいでいて、痛みが強い場合、感染を伴っている場合、腎機能が下がっている場合には、 尿管に細くやわらかい管(尿管ステント)を入れて、尿の通り道を確保します。 石そのものを取り除く処置ではありませんが、腎臓を守り、痛みを和らげ、 あらためて治療の計画を立てるための時間をつくることができます。 ステントを入れている間は、残尿感や血尿、頻尿などの違和感が出ることがあります。
内視鏡による砕石術(TUL / f-TUL)
自然排石が期待しにくい大きさの場合、一定期間待っても石が動かない場合、 痛みや感染を繰り返す場合、腎機能への影響がある場合には、内視鏡で石を砕いて取り出します。 当院では内視鏡による砕石術(TUL / f-TUL)で対応しています。 結石の位置・大きさ・硬さにより、最適な方法をご提案します。
経尿道的尿路結石破砕術
Transurethral Lithotripsy
尿道から細い尿管鏡を入れ、尿管の中にある結石をレーザーで細かく砕きます。 砕けた破片はその場でバスケット型の器具を使って回収します。 お腹を切ることはありません。
軟性尿管鏡下砕石術
flexible Transurethral Lithotripsy
先端が自在に曲がる軟性尿管鏡を用いて、腎臓の中(腎盂・腎杯)にある結石まで到達し、 レーザーで砕いて回収します。曲がりくねった腎臓の内部にある石にも届く方法です。
砕石にはホルミウム・ヤグ(Ho:YAG)レーザー治療システムを用います。装置の詳細は泌尿器科のレーザー治療システムをご覧ください。
手術の実際
麻酔は腰椎麻酔(下半身の麻酔)で行います。意識はありますが、手術中の痛みは感じません。 麻酔の方法は、結石の位置やお身体の状態、内服中のお薬にあわせて判断します。
- 1手術前の準備
血液検査・心電図などで全身状態を確認します。血液をさらさらにする薬を服用中の方は、処方元の医師と調整のうえ対応を決めます。結石の位置によっては、事前に尿管ステントを入れて尿管を広げておくことがあります。
- 2麻酔
背中から細い針で麻酔薬を注入し、下半身の感覚を一時的に遮断します。
- 3尿管鏡の挿入
尿道から膀胱を経て、尿管へ内視鏡を進めます。皮膚を切る操作はありません。
- 4レーザーによる砕石
内視鏡の画像を見ながら、結石をレーザーで砕きます。硬い石も細かくすることができます。
- 5破片の回収
砕けた破片をバスケット型の器具で取り出します。取り出した石は成分分析に提出します。
- 6尿管ステントの留置
尿管のむくみで尿が流れにくくなるのを防ぐため、細い管を入れておくことが一般的です。
- 7入院・退院
手術後は入院していただき、尿の色や発熱の有無、痛みの程度を確認します。入院期間は結石の状態や経過により異なります。
- 8ステント抜去・結果説明
後日、外来でステントを抜きます。結石の成分分析の結果をお伝えし、再発予防の方針をご相談します。
手術に伴うリスク・合併症
広く行われている治療ですが、次のような合併症が起こる可能性があります。 手術前に担当医から改めて説明を行い、ご納得いただいたうえで実施します。
手術後に熱が出ることがあります。結石の中に細菌が含まれていることがあるためで、抗菌薬で治療します。まれに感染が重症化し、全身に影響が及ぶことがあります。
手術後しばらく尿に血が混じります。多くは数日で薄くなります。
内視鏡や器具の操作により、尿管の粘膜が傷ついたり、まれに穴が開いたりすることがあります。その場合はステント留置などで対応します。
留置している間、残尿感・頻尿・血尿・腰の違和感が出ることがあります。抜去すると改善します。
石が大きい場合や複数ある場合、一度の手術で取りきれず、追加の治療が必要になることがあります。
時間が経ってから尿管が狭くなることがまれにあります。手術後の経過観察で確認します。
再発予防
予防の柱は、尿を薄く保つことと、結石のもとになる成分を摂りすぎないことです。 成分分析の結果や背景にある病気(尿酸値の異常、副甲状腺の病気、糖尿病・肥満など)に応じて、 お一人ずつ具体的な内容をご案内します。
1日の尿量が2リットル以上になることを目安に水分を摂ります。ガイドラインで再発予防の基本とされている項目です。水や麦茶が適しています。ただし心臓や腎臓の病気で水分制限を受けている方は、必ず担当医にご確認ください。
ほうれん草・チョコレート・緑茶などに含まれるシュウ酸は、腸の中でカルシウムと結びつくと吸収されにくくなります。結石を心配してカルシウムを極端に控えると、かえって石ができやすくなることが知られています。
塩分や動物性たんぱくの摂りすぎは、尿中へのカルシウム排泄を増やします。糖分の摂りすぎも同様にリスクを高めます。
就寝中は尿量が減り、尿が濃くなります。夕食のあとすぐ寝ると、結晶ができやすい時間帯と重なります。夕食から就寝まで4時間以上あけることが望ましいとされています。
高尿酸血症、糖尿病、肥満、副甲状腺機能亢進症などは結石のリスクになります。必要に応じて内科と連携して治療します。
再発は自覚症状のないまま進むことがあります。超音波検査などで定期的に確認しておくと、小さいうちに対応できます。
費用について
尿路結石の検査・薬物療法・手術は、いずれも公的医療保険の適用となります。 窓口でお支払いいただく金額は、年齢や所得に応じた自己負担割合により異なります。
入院・手術で自己負担額が高額になる場合は、高額療養費制度の対象となります。 あらかじめ「限度額適用認定証」(またはマイナ保険証による限度額情報の提供に同意いただく方法)を ご用意いただくと、窓口でのお支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。
よくあるご質問
尿路結石は何科を受診すればよいですか。
泌尿器科です。背中や脇腹の痛み、血尿は内科や整形外科でも相談されることがありますが、尿路結石の診断と治療は泌尿器科が担当します。当院では泌尿器科の外来で、CT・超音波・尿検査による診断から治療までを行っています。診療時間外に耐えられない痛みが出た場合は、救急医療機関を受診してください。
痛みがおさまりました。このまま様子をみてよいですか。
受診をお勧めします。結石が尿管の中で動いて痛みが一時的に和らぐことはありますが、石が体外に出たとは限りません。尿の流れがふさがれたまま時間が経つと、痛みがないまま腎臓が腫れ(水腎症)、腎機能が低下することがあります。石が出たかどうかは画像検査で確認できます。
石は自然に出ますか。
結石の大きさと位置によります。一般に長径10mm未満、特に5mm以下の尿管結石は自然に排出されることが期待できるとされています。それより大きい場合や、一定期間経っても動かない場合、痛みが強い場合、感染や腎機能への影響がある場合には、内視鏡による砕石術を検討します。
ビールを飲むと石が出やすいと聞きました。
お勧めしていません。アルコールには一時的に尿量を増やす働きがありますが、その後に脱水を招き、かえって尿が濃くなります。ビールにはプリン体も含まれ、尿酸値の上昇は結石のリスクになります。水分は水や麦茶などで、こまめに摂っていただくのが基本です。なお緑茶はシュウ酸を比較的多く含みます。
手術は痛いですか。麻酔はどうしますか。
腰椎麻酔(下半身の麻酔)で行います。意識はありますが、手術中の痛みは感じません。手術後は尿管に細い管(尿管ステント)を入れておくことが多く、その間は残尿感や血尿、頻尿といった違和感が出ることがあります。ステントは後日、外来または短時間の処置で抜きます。
一度治療すれば、もう結石はできませんか。
残念ながら、尿路結石は再発しやすい病気です。上部尿路結石の5年再発率は約45%と報告されています(出典: 日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン』)。だからこそ、石を取り除いたあとの水分摂取や食生活の見直しが治療の一部になります。当院では取り出した結石の成分を調べ、その方に合った予防をご提案しています。
外来のご案内・お問い合わせ
泌尿器科の診療日・担当医は、外来担当医表をご確認ください。 初めて受診される方は、健康保険証(またはマイナ保険証)と、 服用中のお薬がわかるもの(お薬手帳)をお持ちください。紹介状は必須ではありません。 他の医療機関で結石を指摘された方は、画像やデータをお持ちいただくと診療がスムーズです。
関連ページ